STEPHEN SHORE

東京ミッドタウン八重洲を起点に開催された写真のアートフェア、T3 PHOTO ASIAでアメリカの写真家、ステファン・ショアの作品を見ることができた。

1947年ニューヨーク生まれのステファン・ショアはなんとわずか6歳で写真や暗室作業を始め、14歳の時にはニューヨークのメトロポリタン美術館のエドワード・スタイケンに写真を購入されたという経歴を持つている。

その後、わずか17歳にしてあのアンディー・ウォーホルのファクトリーに出入りして写真を撮ったり、時代の最先端を行く写真家として活動した。

1971年、24歳という若さでメトロポリタン美術館で写真家として初の個展を開催したというのも驚くべきことだ。

ステファン・ショアの功績として、それまではコマーシャルかファッションにしか使われなかったカラー写真を日常を撮る写真に使ったという事実があるが、後にニューカラーと呼ばれるその写真は独特の色彩でアメリカの日常風景を切り取っている。

20代半ばのステファン・ショアは偉大な写真家、ロバート・フランクの跡を辿るようにして全米への旅に出た。

その過程で撮影された「アメリカン・サーフェス」と命名された一連の写真はフォト・ダイアリーのように記録されたロードムービーであった。

訪れた街の街並みやガソリンスタンド、ダイナー、モーテルなどステファン・ショアは毎日遭遇するアメリカの風景をローライ35で淡々と撮影した。

普通で何気ない風景は、劇的でも衝撃的でもないがアメリカの普遍的な風景を探り当てたような場面ばかりで見るものを思わずハッとさせる写真だった。

彼の写真は一見すると何気ない風景のはずなのだが見ているうちに何故かグイグイと心に迫ってくるのである。

被写体の捉えられた構図、色彩、そこに潜むドラマ性など総合的な要素はあるのだろうが、結論として言えるのはそれを撮影したステファン・ショアのインスピレーションを写真から感じ取ることができる心地よさなのかもしれない。