APOTROPAIC TIGER

5月15日まで市ヶ谷にあるMIZUMA ART GALLERYにて4年ぶりに金子富之の個展「辟邪の虎」が開催されていました。

金子富之は妖怪や精霊、神々などの目に見えない精神的存在の実体化を山形で続けていますが、魔を払う力を虎の姿に注ぎ込んだ大作を含む今回の作品群は圧巻で見応えがあります。

2015年、金子富之は文化庁の研修制度を受けてアンコール・ワットで知られるカンボジアのシェムリアップにて仏教やヒンドゥー教、精霊信仰などの造形美術に触れて数々のスケッチを重ねたと言います。

108体の毘沙門天が祀られている岩手県平泉の達谷窟(たったくのいわや)毘沙門堂を訪れた際にその神使である虎を見て数多く描きたいきたいいう強い衝動を覚えた金子富之は近年集中的に虎を描いたのです。

力強く迫る巨大な虎を見ているとなぜか心が落ち着くような気持ちになり虎たちの絵画からみなぎる力は信仰心の作り出したイメージが秘めるパワーをそのまま感じさせているようです。

MIZUMA ART GALLERY