ATSUSHI FUKUI

小山登美夫ギャラリー天王洲にて、福井篤の3年ぶりとなる新作展「結晶の島」が開催されています。
この展覧会では、ペインティングと新たな取り組みとなる小さなジオラマ作品の構成で、最新の福井篤の世界観を見ることができます。

キノコや木などの植物、森、動物、人々、現代の日常の断片や、音楽、鉱物、太古の昔、宇宙など福井篤の作品には、時空間を超越した遥かなイメージの、平和で静謐な世界が広がります。
福井篤は前回の個展において、「100年前に、地球と地球外の文明とのオープンなコンタクトが起き発生した、もっと自由で驚きに満ちた世界」という、作家にとっての「アルカディア(理想郷)」をペインティングで表現しました。

そこに広がる青く透んだ色調と、美しいマチエールによるモチーフや風景は、一見リアルでわかりやすく見えますが、それは何かの意味があるというより、壮大なスケールによる隠喩的かつ哲学的な世界として表わされています。

福井篤の作品の筆触やテーマは、少年時代魅了された欧米のSF・コミックスの影響や、現在制作拠点とする八ヶ岳の自然、一度はミュージシャンを目指し10年間アートと離れたという経歴とも繋がっているのです。

TOMIO KOYAMA GALLERY