2023年 8月 22日TRAVELING FOR ART
CAI GUO-QIANG
国立新美術館にて、現代美術家、蔡國強の大規模な個展「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」が開催されました。
1957年末に中国に生まれ育った蔡國強は、1986年末に日本に移り住み、1995年にアメリカに渡るまでの約9年の間に、火薬を用いた独自の表現手法を開拓しました。
蔡國強は数十年にわたり、東洋古来の哲学や思想に立脚しつつ、風水や占星術にもつながる宇宙、そして目に見えない世界に魅了されてきました。
同時に、そうした果てしない世界への現代的アプローチとしての科学技術への興味や、現代の社会問題への感受性と省察を原動力に様々な作品を制作しています。
蔡國強の芸術の大きな特徴は、火薬を創造的に用いて作品を生み出してきたことですが、神話的で人類学的な壮大な世界観を表明した火薬ドローイングやインスタレーション、屋外爆発イベントなど、スケールの大きな制作は国際的に高く評価されてきました。
この展覧会では、蔡國強が30年前に発表した展覧会「原初火球」を蔡國強の芸術における「ビッグバン」の原点と捉え、そして、この爆発を引き起こしたものは何であり、その後今日まで何が起こったかを探求しました。
美術館の壁を取り除き、展示室全体がまるでひとつの巨大なインスタレーションのような展示を通じて、蔡國強の深遠かつ軽やかな思考と実践の旅路を追体験できる展覧会となりました。