2025年 5月 05日TRAVELING FOR ART
CAMP
六本木にあるギャラリー、OTA FINE ARTSにてグループ展「CAMP」が開催されています。
この展覧会に参加しているのは社会構造に対する鋭い批評眼を煌めかせ、知性に基づくリサーチを重ねてきたアーティストたちです。
参加アーティストの嶋田美子+ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、ミン・ウォン、ウォーターメロン・シスターズ、ユキ・キハラは既に十分なキャリアを持ち、知性を上回る感性の炸裂が、アートの実践においていかに強く人々の心を動かすかも熟知していますが、そのアーティスト達に共通して見られる感覚、それがCAMP(キャンプ)です。
スタイルのやりすぎた誇張、ものや人々のなかに見出せる人工性などキャンプは不自然さを愛好します。
クィアを自認するかれらにとって馴染み深いこの審美主義は、多様な理念のもつれが人々をがんじがらめにしてしまうこの時代にあっても、何食わぬ顔で大胆不敵な自己主張を繰り広げます。
世界は今、強国による新たな帝国主義的ふるまいにより混迷を極めています。
しかし世界の不安をよそに、悲劇性を好まぬキャンプはアイロニー全開で独自の美学を貫き、混沌のなかを突き進みます。
これらのアーティストたちにどうしようもなく惹かれてしまうのは、その自立したエレガントな強さに、そして誰もが持ち得ているのではないその感性に、憧れを抱かずにいられないからでしょうか。
ソンタグが『Notes on 'Camp'』を記してから60年を経た今も、キャンプは見るものを強く魅了します。