2023年 6月 17日TRAVELING FOR ART
DAICHI TAKAGI
駒込にあるギャラリー、KAYOKOYUKIにて髙木大地による個展が開催されました。
この展覧会は髙木大地の作品集「Daichi Takagi 2010-2022」の刊行記念展として、隣接する駒込倉庫にも拡大し、ここ約12年の新旧の作品や新作に加え未発表作品やドローイングなどが展示されました。
髙木大地はこれまで、「抽象」と「具象」の狭間を行き来しながらも、一貫して「絵画」表現の可能性を探求し続けてきました。
脈々と続く絵画の歴史に真摯に向き合い、その上で自らの絵画表現を模索してきたその軌跡は、髙木大地自身の言葉の通り、まるで螺旋階段を少しずつ登っているように思えます。
髙木大地はその初期の作品群では抽象度の強い作品を展開していいましたが、2018-19年のオランダ滞在を機に、表現が大きく変化しました。
それまでの自らに課してきた方法や理論以上に自分の直感を頼りに描くこと、という非常にシンプルな表現行為に取り組み始めたのです。
そこには具体的なモチーフが導入され、以前の作品にはなかった絵画的情緒や物語性が加味されます。また、オランダ滞在は髙木大地に西洋とは異なる文化圏で生まれた日本人であることを再認識させました。
近作では、西洋由来の油絵具を日本人である自分がどう扱うのか、東洋的・日本的な背景や美意識を念頭に置いた試みも展開しています。
この展覧会では、髙木大地の制作の根拠となるドローイングなども絵画作品とともに展示され、最新作に至るまでの変遷を辿ることができました。