GOING NOWHERE
天王洲アイルにあるギャラリー、KOSAKU KANECHIKAにて10月8日まで、fumiko imano展「going nowhere」が開催されています。
fumiko imanoは、LOEWEのパブリケーションにおける写真を2018年以降8シーズンに渡って担当、また今年には自身の作品を使ってVANSのシューズをデザインするなど、ファッションとのコラボレーションでも活躍し高く評価されている作家です。
代表作は、35mmカメラで撮影したセルフポートレイトを切り貼りし、双子のモチーフに仕上げるフォトモンタージュのシリーズです。
一見すると、無邪気でノスタルジック、思わず微笑んでしまうようなユーモアあふれる家族写真風のイメージですが、はさみで切ってつなぎあわせたラインが、それが虚構であるとはっきりと伝えます。
デジタルの時代にあえて手作業でシンプルにつくられるフォトモンタージュは、プレイフルでありながらもアイデンティティについての冷静な洞察でもあり、新たな物語のための視覚言語でもあります。
その物語は、ホームで撮られたものもありますが、パリ、シンガポール、ロサンゼルスなど、海外の様々な場所で撮影されたものも多く、双子の表情にも豊かなニュアンスを与えています。
一つの場所にとどまらず、常に何かを探して旅を続けるプロセスの記録でもあるimanoの作品、そしてそこに映る双子に誘われて、鑑賞している側も旅に出ているような感覚を得流のです。
この展覧会の作品は、imanoが90年代の終わり、ロンドンの学生時代に訪れて以来、いつかまた行きたいと思っていたアイスランドが舞台です。
22年前の旅で出会ったものとの再会や初めて見に行く氷河、アイスランドのアーティストの作品でいっぱいのホテルなど、双子はあちこちを訪れます。
一見すると子供っぽいような独特のユーモアのセンスを感じる作品ですが、同時に冷静に意図された作家の客観的視線を感じさせます。