2026年 6月 02日TRAVELING FOR ART
HIROKA YAMASHITA
京橋にあるタカ・イシイギャラリーにて、山下紘加の個展「白気 White Veils」が開催されています。
この展覧会では2024年から山下紘加が取り組み始めた神楽の演目と神事を題材にした作品や、古典的な雪景や水辺をモチーフとした様々な物語を有する作品で構成されています。
色彩においては、神性の象徴とされてきた白や、日本古代の基本色である鮮やかな赤や重い黒が新たにパレットに加わったことで、身近なありふれた空間がどこか際立つ異質な存在として、色彩そのものが他の要素と作用しあたかも境界を示すような役割をはたしています。
山下紘加の実践は日本の神話や伝統的なアニミズムの思想に深く根差し、古くから代々受け継がれてきた物語や作家自ら地域の行事に参加した実体験を基にして、浮世絵や木版画を想起させる大胆な構図でキャンバスに繊細でありながらも伸びやかに構築していきます。
特徴のある具象性のひとつである画面に登場する人物は時としてその描かれた風景や場面から立ち上がり現れるといいます。
その制作過程は、神秘的な白気の移ろいゆく様とよく似ていて、絵画特有の身体性と想像の境界を行き来しながら表現されていきます。
山下紘加が描く優美な造形はまぎれもなくその豊かな精神性と感受性が支えとなり、作家が新たに出会う目の前に広がる風景や物語を不思議な気配とともに独自の絵画空間として展開していきます。







