HIROYUKI OKI

天王洲アイルにあるギャラリー、ANOMALYにて、大木裕之の 個展「アブストラクト権化」が開催されました。

この展覧会では、最新作および《色目》など90年代の初期フィルム作品を含む全11点の映像作品、建築物としての立体作品《黒庵》、その他ドローイングなどが展示されました。

大木裕之は、東京大学工学部建築学科在学中の80年代前半より映画制作を開始し、学部在学時に発表した処女作《正しい欲望》で監督デビューを果たします。

1989年に3時間に及ぶ大作《松前君の映画》が話題となり、翌1990年には《遊泳禁止》がイメージフォーラム·フェスティバルで審査員特別賞を受賞しました。

1996年には、高知県立美術館製作による映画《HEAVEN-6-BOX》が第46回ベルリン国際映画祭でNETPAC賞を受賞し、大木裕之の名は世界に知られることになりました。

その他にも、「山形国際ドキュメンタリー映画祭」「バンクーバー国際映画祭」「ロッテルダム国際映画祭」「タオルミーナ国際映画祭」「サンダンス映画祭」「ニューヨーク·レズビアン&ゲイ映画祭」「ハンブルク·レズビアン&ゲイ映画祭」など数々の国際映画祭に招かれ、2022年には二作品が国立映画アーカイブに収蔵されました。

大木の活動は映画·映像制作のみに留まらず、ライブ上映、インスタレーション、身体パフォーマンス、ドローイングやペインティングなど、その表現手法は多岐に渡り、現代美術のシーンでも注目を集める稀代な存在です。

ANOMALY