ISAAC JULIEN

大阪のエスパス ルイ・ヴィトン大阪にて、イギリス人アーティストのアイザック・ジュリアンによる個展が開催されています。

この展覧会では、展示スペース全体を占める、大規模な映像のインスタレーション作品「Ten Thousand Waves」が紹介されています。
アイザック・ジュリアンは、セントルシア出身の両親のもとロンドンに生まれ、同市のセント・マーチン美術学校を卒業しました。

1980年代半ば、マーガレット・サッチャー政権下のイギリスにおいて、ビデオを社会活動の表現媒体として、また対抗言説を伝える手段として用いたイギリス人映画作家たちのムーブメントを牽引した作家の1人です。

1983年にアイザック・ジュリアンが他と共同で設立したサンコファ・フィルム・アンド・ビデオ・コレクティブは、アーティストのジョン・アコムフラーなどが属したブラック・オーディオ・フィルム・コレクティブとまさに同世代にあたります。

黒人やアジア系ディアスポラの視点をイギリスの文化議論の場に紹介した彼らは、スチュアート・ホールなどの社会学者がカルチュラル・スタディーズの分野で探求しているテーマを取上げました。

アイザック・ジュリアンが1984年に制作したドキュメンタリー「Territories」は、人種や階級、セクシュアリティにまつわる経験の場としてのノッティングヒル・カーニバルを追ったものですが、作品にしばしば登場するこれらのテーマに加え、さまざまな映像や音楽の素材を再利用し、リミックスすることで、多面的な言説を生み出す手法で知られるようになりました。

ESPACE LOUIS VUITTON