2022年 7月 15日TRAVELING FOR ART
KATHLEEN JACOBS
南青山にあるギャラリー、ファーガス・マカフリー東京にて「キャスリーン・ジェイコブス」展が開催されました。
木の幹にキャンバスを巻き、その樹皮の模様を写しこむ独特の方法で制作されるキャスリーン・ジェイコブスの作品は、対象の樹木が生息する自然環境、そしてその変化の経緯を布地に取り込むことで生み出されます。
それは中国の明代初期の秋冬の山水画を連想させ、余白の多いミニマルな画面に途方もなく広がる距離を感じさせる彼女の絵画空間は、中国で暮らしアジア伝統美術を学んだ経験に根付いています。
「14世紀から16世紀の絵画や漢詩の途方もないスケールの捉え方に触発された」と語るキャスリーン・ジェイコブスですが、わずかな筆墨と線で多くを表現する簡素な視覚言語、また石に刻まれた古代文字の拓本を手本に書を学習した経験が独自の樹木を用いるフロッタージュ技法へとつながって行ったのです。