2025年 8月 18日TRAVELING FOR ART
LUIGI GHIRRI
恵比寿にある東京都写真美術館にて、総合開館30周年記念展として、イタリアを代表する写真家ルイジ・ギッリの個展が開催されています。
ルイジ・ギッリは測量技師としてのキャリアを積んだのち、コンセプチュアル・アーティストたちとの出会いをきっかけに、1970年代から本格的に写真家として活動を始めました。
ルイジ・ギッリにとって写真とは、現実世界の複製ではなく、フレーミングされた「見られた」視覚的断片によって風景を作り出すための手段でした。
彼はこの表現手段を通じて、通り過ぎる風景の中に現実とイメージの関係性を見出し、「在」と「不在」、外的世界と内的世界について思索を深めようとしました。
この展覧会では、1970年代から晩年にかけてルイジ・ギッリが撮影したイタリアや旅先での風景、アーティストのスタジオ、自宅の室内、美術品、看板やポスター、窓や鏡に映る風景など、多様な視覚的断片によって構成された風景表現が紹介されています。
あわせて、ルイジ・ギッリの活動を語るうえで欠かせない存在であり、自身もグラフィック・デザイナーとして活動した妻パオラ・ボルゴンゾーニの作品や資料も展示し、約20年にわたるルイジ・ギッリの写真に対する多角的な思索を辿っています。