MAHO KUBOTA GALLERY

神宮前にあるギャラリーMAHO KUBOTA GALLERYにて気鋭の若手中国人アーティスト、冷广敏(レン・ガンミン)の個展が開催されました。

 

MAHO KUBOTA GALLERYでは5年ぶり、2回目の個展となるこの展覧会のタイトルは「壳, 如蝉翼一般」、日本語に訳すると「殻、蝉の羽のごとく」という意味になります。

一見すると、シンプルな印象を受けるレン・ガンミンのペインティングですが、その制作工程は複雑です。麻のキャンバスをベースにして、絵具や紙を重ね、マスキングテープでシャープな輪郭線を描いてからその輪郭を微細に剥がし、またはナイフで削り取り、その一方でエアブラシを使いボリュームのある曲面を描いきこみます。

こうした作業の末に、いくつもの絵画的レイヤーが一つの画面の中で複眼的に関係を結びそれぞれに呼応しするのです。

レン・ガンミンはキャリアのごく初期から『切る』という行為を絵画のテーマとして掲げてきました。

絵画のルールにおいてはすべての対象は外殻、あるいは表皮に覆われており、外殻を描くことで表面的にはその対象を描くことができるとされますが、レン・ガンミンはそこにナイフを入れて中身を理解し、介入することで対象とそれをとりまく世界、そして自らのパワーバランスやエネルギーの流れを捉える実践的な手法に絵画の突破口を見つけ発展させてきました。

この展覧会では、クールな計画性のもとに対象への思索に満ちた探求を推し進め絵画の可能性を切り開き続ける若手ペインター、レン・ガンミンのさらなる進化を遂げた新作絵画を中心に11点の作品が展示されました。

MAHO KUBOTA GALLERY