MAKOTO SAITO

六本木にあるタカ・イシイギャラリーにて12月25日まで、サイトウマコト 「見えるもの、見えないもの。Face Landscape 2021」展が開催されていました。

タカ・イシイギャラリーでの初個展となるこの展覧会では、ペインティング作品「フェイス・ランドスケープ」シリーズより、新作の大作品4点と、小作品数点が展示されました。

90年代半ばより絵画作品の制作を始めたサイトウマコトは、自身の創作意欲を掻き立てる「顔力」を持つ人物をその主題に選びます。

当初はスタンリー・キューブリックなどの映画作家や、その作品の1コマに映る人物の全身像イメージを用いましたが、やがて人間の狂気が刻み込まれた顔に焦点を絞ります。

ルシアン・フロイドやフランシス・ベーコン、アントナン・アルトーなど、ポートレートイメージを素材としてコンピューター上で解体・再構成した網点状の設計図を作り、このデジタルデータを受肉させるかのようにキャンバス上に絵筆で描くという独自のスタイルを確立しました。

無数のドットを膨大な時間をかけて手作業で描くサイトウマコトの絵画作品は、圧倒的な視覚体験を我々にもたらします。

造形された極小の立体作品のように緻密に塗り重ねられた絵具は、まるで増殖過程にある無数の細胞のようです。

TAKA ISHII GALLERY