MASAO YAMAMOTO

市ヶ谷にあるミヅマアートギャラリーにて、静謐で詩的な写真作品やインスタレーションで知られる山本昌男の個展「生物 ≅ 静物」が開催されました。

ギャラリースペースでは台座に一点ずつ展示したアンブロタイプによるガラス湿板写真を中心に、壁面にはガラス湿板を原板に用いたゼラチンシルバープリント、小展示室には様々なシリーズの中から選ばれた作品が展示されました。 

この展覧会では山本昌男が新たに取り組んでいるアンブロタイプ  という19世紀の写真技法を用いた作品が発表されました。

ガラス板を支持体とし、濃度の高いコロディオン溶液を塗布した湿板方式の撮影により、美しく精細なガラスネガ作品が生まれますが、それを黒い布に乗せると、精細なポジ像が浮かび上がるのです。

薬品の塗り方によって見せる絵画的な表情や、印画紙とは異なる物質感もその魅力の一つです。

 近年、盆栽や木の根、路傍の石に向かい合ってきた山本昌男は、世界の小さなひとかけら、あらゆるものに宇宙が宿っていることを見出しました。

今回アンブロタイプの技法でガラスに映るのは、様々な生物(≅静物)により山本昌男が描き出した絵画のような写真作品となりました。

MIZUMA ART GALLERY