2023年 9月 02日TRAVELING FOR ART
MONOPHONY/POLYPHONY
六本木にあるCLEAR GALLERY TOKYOにて池田俊彦+杢谷圭章「monophony/polyphony」展を画開催されています。
池田俊彦と杢谷圭章は共に銅版画を主な表現手段に選んだ同世代のアーティストですが、彼らが描き出す作品世界は全く違う表象を持っています。
池田俊彦は銅版画の古典技法スティプリングと呼ばれる白と黒の点描法で、西洋の伝統的な思想「死を想え/メメントモリ」を現代的な高齢化問題とリンクさせて異形の人体造形を創造し続けます。
一方、杢谷圭章は立体的に浸透する腐食の作用によって産み出された鮮やかな色相と直接銅板に刻み込まれた鋭利な線によって、分解された図像を版というレイヤーで再構築して現代絵画の方法論を銅版画へと落とし込もうと試みます。
伝統と現代、白黒と極彩色と、一見銅版画の両極で創作を続けている2人ですが、通底する表現の軸、思考する方向性は共通しています。
両者に共通するのは、銅という金属板に刻み付けられた痕跡からイメージや思考を汲み上げ、それを強力なプレス圧を使って紙という平面に立体的に定着させこの世に実体化させたいという強い願望なのです。