ONDULATOIRE

六本木にあるKOTARO NUKAGAにて3月31日まで石塚元太良の新作を含む17点による個展「Ondulatoire」が開催されています。

冠布(かんぷ)を被り、ピントグラス越しに見た世界はカメラの操作によって立体的に浮かび上がってきます。

これまで石塚元太良が写真によって行ってきたことには写真空間の再解釈を行うという考えが通底しているのです。

石塚は「デッドパン」といわれる1970年代にドキュメント写真がアートとなるためにとった戦略を踏襲するスタイルをとり、世界の全てを平面的に見るデジタル写真の時代に、別の目で見る世界の姿を私たちに経験させてくれます。

今回の新作で石塚元太良が撮影したのは20世紀の偉大な建築家であるル・コルビュジエが設計したリヨンのラ・トゥーレット修道院です。

ル・コルビュジエこの修道院の開口部を弟子で建築家、数学家や作曲家でもあるヤニス・クセナキス にデザインをさせました。

整然と整理されてしまう対位法的な音楽を真っ向から否定したクセナキスは、音楽に複雑性を取り入れダイナミックな大きな塊として表現される音楽を作りました。

ラ・トゥーレット修道院の開口部のデザインは彼の代表的な曲である『メタスタシス』の譜面との間に共通するものがあるとも言われています。

KOTARO NUKAGA