SATORU KURATA

六本木にある小山登美夫ギャラリー池尻大橋にあるCAPSUL、SUNDAYの2ヶ所での展覧会も含め都内3ヶ所にてにて1月24日まで、倉田悟展の新作展が開催されています。

CAPSUL、SUNDAYの2ヶ所では、CAPSULにて1月22日まで倉田悟展「ふつうのゆううつ」、SUNDAYにて1月24日まで「せいぶつ」が開催されています

倉田悟の作品には、簡略化された仮面のような顔を持つ人や、擬人化された動物が登場します。

音を共合わないないような静謐な存在感と、ユーモラスでありながらそれらは得体の知れない時に不穏さを帯びて描かれます。
作品に繰り返し登場するモチーフは、夕暮れ、海、夜、車、卵、寝るという行為など、作家の記憶に強烈に残っている「極めて個人的」な経験から着想を得ているといいます。
そうしたインスピレーションと、デジタル・ドローイングや物質的な制作プロセスとの反復の間で、倉田悟は「イメージの解像度を上げたり下げたり」することで、絵画でしかありえない表現を模索します。

空間を捉える独特のパースペクティブや光を表すビビッドな色彩、プリズムを描くような細かい光の処理や描線はどこかデジタル画像を想起させます。
しかし、それらは絵具の繊細な厚薄や絶妙な輪郭のぼかし、あるいは何も塗らない麻布のまま残された処理や筆触といった絵画の物質的要素に溢れています。

絵画という伝統的な技法にデジタル的な感性や私的な記憶の断片を再構築したようなイメージ、それらを素晴らしい絵画作品に仕上げる倉田悟の表現力と発想、テクニックは卓越しているとしか言いようがありません。

絵画が持つ表現の可能性の地平を広げるようなダイナミックで息を飲むような試みが見るものを圧倒する作品となっています。

TOMIO KOYAMA GALLERY