2021年 7月 05日TRAVELING FOR ART
SCAI PIRAMIDE
六本木のピラミデビルに新しくオープンSCAI PIRAMIDEギャラリーで荒川修作の個展「BOTTOMLESS-60年代絵画と現存する2本の映画」が7月10日まで開催されています。
谷中にあるSCAI THE BATHHOUSE、天王洲アイルにあるSCAI PARKに続く第3の展示場として現代アートシーンとのさらなる交流を目的にSCAI PIRAMIDEがオープンしました。
初回を飾るのは没後10年を経て再評価の高まる作家、荒川修作NO初期作品を紹介しています。
従来の価値観や理解の体系が見直しを迫られる中、私たちが与えられた認識手段の全てを使って「考え抜く」にはどのような訓練が必要なのでしょうか。
荒川修作は自然科学と哲学の訓練を通じてこの問いに応えようとした作家であり今回展示された線や矢印、ダイヤグラムやタイポグラフが配された1960年代の作品は図形絵画として見るものが新たな認識の開発へと導かれるような作品となっています。
また、マドリン・ギンズとの共同制作の実験映画2本も上映されますがこれらは平面における探究に時間軸を加えた常念的な表現の模索と考えられます。
芸術的実践を通した荒川修作の試みは世界の分断が進みますます混迷の色が濃くなる今の時代にこそ必要とされる試行錯誤と言えるのかも知れません。