SHOTA NAKAMURA

タカ・イシイギャラリー 京橋にて、中村翔大の個展「青と緑」が開催されています。

中村翔大にとってタカ・イシイギャラリー 京橋で初の個展となるこの展覧会では、水や青というキーワードから連想される風景、木々のある風景、そして水浴者を描いた新作のペインティング約9点されています。


中村の制作の起点となるのは、自身の記憶、観察、そして絵画や映画、写真など多岐にわたるイメージのリサーチです。

それらのイメージを編集し再構成することで生まれる作品では、風景、人物、静物といった主題が扱われます。

屋外の庭や風景と室内の境目が溶け合うようなイメージや、内省的な空気を纏う人物の姿は、中村翔大の作品に特徴的ともいえる没入的な情景を生み出します。

ピエール・ボナール(1867-1947)らの影響に言及しながらこれまで色彩豊かな作品を発表してきた中村翔大ですが、近年は色のトーナリティについて思索しているといいます。

隣接する色によって色相が変化して見える「グレー」の繊細さへの関心を反映するように、この展覧会のペインティングはグレーやベージュといった抑制されたトーンの中で展開されます。

またこれまでの作品では重層的で厚みのある画面づくりがおこなわれていましたが、近作では油絵具に透明性をもたせて色のレイヤーをつくり出すという、水彩表現に通じる実践が試みられています。

TAKAISHII GALLERY