SIMONE TRIBUIANI

目黒不動前にあるギャラリー、LEESAYAにてイタリア人アーティスト、シモーネ・トリブイアーニの日本で初めての個展「Japanese Sports Heroes」が開催されました。

1975年、アドリア海と運河に面した港町チェゼナーティコに生まれたシモーネ・トリブイアーは、カノン美術大学で学び、現在も故郷を拠点に制作を続けています。

古船が行き交い、造船所が点在する町の風景のなかで育った彼の作品は、造船所から出る木片や布地などを支持体として再利用することが多く、その土地性を色濃く反映しています。
主な表現媒体はアクリル絵具で、題材にはバスケットボール、サッカー、幼少期から親しんできたサーフィンやテニスといったスポーツの歴史的瞬間がしばしば登場します。

活動の場をイタリアにとどめず広げてきた近年は、各国のスポーツシーンをリサーチし、そこに刻まれた名場面を作品化しています。

それらは単なる記号やイメージにとどまらず、政治や文化、地政学的な背景をも映し出す歴史の断片として立ち現れます。
観る者は作品を通じて自身の記憶を呼び起こされると同時に、自国の文化や時代を新たな視点から見つめ直すことになるでしょう。
LEESAYA