2025年 7月 14日TRAVELING FOR ART
SPEKTRUM SPEKTRUM
ブリュッセルと東京にある二つのエルメス・ギャラリーの協働によるグループ展「スペクトラム スペクトラム(Spektrum Spektrum)」が銀座にあるメゾンエルメスフォーラムにて開催されました。
モンタージュを思わせる切り込みのあるキャンバスに人物像を描くエマニュエル・カステランは、マルグリット・デュラスなどのヌーヴォー・ロマンに影響を受け、舞台や映画のセットのような空間を立ち上げます。
セラミックを用いるヨハネス・ナ―ゲルは、鮮明な発色や、非対称、不調和、表面の粗さや滑らかさを放つ壺(器)で、異なる次元を掘り出し、ヴァルター・スウェネンの絵画は、謎めいた暗号を投げかけます。
映像原理を用いて、時空の振れ幅を可視化させる津田道子、器やスプーンなどのオブジェの凹面に、エロテックな幻想を宿しつつ結界をももたらす川端健太郎のオブジェ、ユーモアに満ちた水の亡霊を路上にしかける題府基之の写真、そして輝くようなパステルの色彩を用い、現実を装飾へと昇華させるマリー・ローランサン。
それぞれの作品が不可避に関わり合い、映し合うなかで、スペクトラムは反復し、その姿や幻影を現わしてゆくようでした。
加速する情報社会のコミュニケーションにおいては、真実や事実という言葉を使うことは、ますます難しくなっています。
この展覧会は、7名のアーティストの真実と反射、逆転、持続、幻想、心霊現象などのあいだにある場所を意図的に登場させ、鑑賞者の身体を通じた作品とのナラティブの形成を、信頼の可能性のひとつと考えました。