TOMOYA MATSUZAKI

六本木にあるYutaka Kikutake Galleryにてロンドン在住のアーティスト、松﨑友哉による展覧会、「Sediment / 沈殿」が開催されました。

松﨑友哉は、水性アクリル樹脂を用いた支持体に独自の絵画を制作するペインターです。

抑制された色彩で描かれた抽象的な図柄と、石のような風合いを帯びた厚みのある画面を特徴とし、絵画と彫刻のあわいを行き来する独自の実践を追求してきました。

およそ三十年に及ぶロンドンでの滞在を経る中で、松﨑友哉は外国人居住者としての視点を通じて、自身を取り巻く環境についてのより繊細な意識を持つようになったといいます。

この展覧会では松﨑が数年前から実施している野草採取や食のワークショップ、また、ロンドンを流れるテムズ川の干潮時に歴史的遺物を拾い集める”マッドラーキング(泥ひばり)”に伴う風景を巡る考察に根差し、大いに発展を遂げた近年の絵画が発表されました。

松﨑友哉は、ロンドンで暮らす一人の日本人としての視点、そして松﨑友哉というペインターの視点を共に編み上げた集大成を形成しつつあります。

金沢21世紀美術館「集積する時間:この世界を描くこと」に展示中の作品群とあわせて、その近年の試みと成果を見ることのできる展覧会となりました。YKG