YASUMI HAKOSHIMA

神宮前にあるGallery 38にて箱嶋泰美の初個展「Hello」が開催されています。
この展覧会は、箱嶋泰美のキャリア初頭から継続的に作品発表を支えてきた南天子画廊の協力のもと、新作を中心に初期作品から近年作を含め包括的に紹介する展示となっています。

箱嶋泰美は、幼少期を東南アジアで過ごした経験を背景に、その都市や街路、そこに息づく人々の気配を主題とし、タイやカンボジア、ベトナムなどを継続的に訪れ、現地でのスケッチや写真取材を重ねてきました。

また近年は日本国内を拠点に、現実の風景を再構築する独自の絵画空間を形成する手法を用いて制作を続けています。

画面に描かれるのは、街路に佇む人物、移動途中の景色、生い茂るカラフルな植物、建築の壁面や看板といった断片的なモチーフです。

それらは明確な物語を語ることなく、場面の途中で切り取られたように描かれています。

作品には特有の鮮やかさがあり、東南アジアで体感した強烈な日差しや湿度といった気候が、そのまま画面に反映されているのです。
この展覧会は、箱嶋泰美がこれまで一貫して探究してきた「記憶の構造」と「視線の再構成」という主題が、時間の経過とともにどのように変化し、深まってきたかを探る機会となります。

過去の作品に見られる瑞々しい衝動と、近年作における構成の洗練や空間意識の拡張は、連続性の中で静かに積み重ねられてきた思考の軌跡を示しています。

鮮烈な色彩と大胆な構図の背後に潜む時間の重層性。

過去と現在が同一空間に立ち上がる本展は、箱嶋泰美のこれまでとこれからを見通す展示となっています。

GALLERY 38