2023年 6月 19日TRAVELING FOR ART
YUKIKO SUDOU
六本木にある小山登美夫ギャラリーにて、須藤由希子展「旅 ー チューリッヒ」が開催されました。
この展覧会は、須藤由希子にとって小山登美夫ギャラリーにおける初の展覧会となり、新作約8点を発表しました。
須藤由希子は1978年神奈川県生まれ。2001年多摩美術大学美術学部デザイン学科グラフィックデザイン専攻卒業し、現在神奈川県で制作活動を行なっています。
古い家や庭、駐車場に生えた雑草、小学校のプールなど、須藤由希子は道を歩いて出会い、心を強く掴まれた日常の美しい景色を緻密に描いてきました。
作品からはそのときの感動や、自分の心まで美しくなったように感じたという、作家の昂揚が静かに伝わってきます。
須藤由希子自身「絵は心を写すもの」と語るように、作品において表現と作家の心、アイデンティティが密接につながることは大きな特徴といえるでしょう。
画材も自身が一番しっくりくる鉛筆を使用していますが、鉛筆の少し青みがかった色、質感、こすった感じ、消え残る様子、鉛筆は細部をしっかりと描きたいという欲望もかなえてくれる画材です。
鉛筆の色は須藤が灰色のコンクリートの住宅街で生まれ育ったこと、また線画であることは、幼い時から馴染んだ漫画やアニメの影響とつながるといいます。
各々のモチーフを個別に克明にとらえ、陰影がない平坦な景色の組み合わせにより、パースペクティブは独特なゆらぎと絶妙なリアリティをかもしだしています。
所々水彩で着彩された部分は、須藤の印象に残った箇所であり、そのモノクロとカラーの両立は、観る者の想像力をより駆り立てます。
TOMIO KOYAMA GALLERY
TOMIO KOYAMA GALLERY
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