ATARU SATO
天王洲アイルにあるギャラリー、KOSAKU KANECHIKAにて開催された、佐藤允の作品展「初恋2」からの作品紹介。
佐藤允は、描くことによって自ら、人、そして世界を理解し、またコミュニケートしている。
過剰ともいえるような緻密な鉛筆の線描写や独特の筆致によって、オブセッション、恐怖、恋愛などを描く。
見えるもの、見えざるもの、現実と非現実、それらは入り混じり、ペインティング、ドローイング、立体的な箱型のペインティング、インスタレーションなど、様々な形をとりながら溢れ続ける。
作品制作において佐藤允は新しさや意味を求めるといったことを目的にしてこなかった。
現代美術は「寛容の世界」であると考える佐藤允にとって描くこととは、こういう人も存在していい、というある種の赦しを得ようとする行為なのだと言う。
佐藤允が描くものは、私たちの多くが解らないまま避けてしまったり、自分の奥に持っていても蓋をし、背を向けてしまっているものでもあるために、痛みや、あるいは時に甘美なものとして強く迫ってくるのかもしれない。
Exhinitor / KOSAKUKANECHIKA