KOICHIRO TAKAGI
原宿にあるGALLERY TARGETで12月18日まで開催された刺繍作品を発表する高木耕一郎の個展「Is This My God?」からの作品紹介。
この展覧会で高木耕一郎がテーマにするのは扱い方次第では薬とも毒ともなる「お金」です。
高木耕一郎は紙幣や絵画に刺繍で動物などのイメージを編み込んだ独特な作品世界で物事の背後に潜む二面性を表現します。
サンフランシスコで生活をした経験のある高木耕一郎は、パンクロック、アンダーグラウンドコミック、スケートボードなどのサブカルチャーから多くの影響を受けました。
それらのサブカルチャーにはそれぞれに独特な世界観のデザインがあり、メッセージがあり、雰囲気があるのです。
またカトリックの家系で育った幼少の高木耕一郎は、教会を彩る宗教絵画や神父の纏う法被などの装飾品や聖書に描かれる宗教世界からも影響を受けました。
刺繍の歴史を覗いてみれば、ヨーロッパの僧院では人々の信仰心を高めるための荘厳な装飾に用いられたり宮廷では豪華な衣装などによって高い身分、また権力や富の象徴として刺繍が用いられました。
そんな背景が生み出す作品の画面上には、サブカル性を感じさせる強烈なメッセージとそのタイポグラフィーデザインがあり、同時に刺繍で表現された宗教性を感じさせる動物たちが語りかける神話的で寓話的な世界が混在しています。
Exhibitor / GALLERY TARGET