KOJI TANADA

市ヶ谷にあるミヅマアートギャラリーにて開催された、棚田康司展「入って飛ぶ」からの作品紹介。

 30回平櫛田中賞の受賞を受けて、202310-11月に岡山県・井原市平櫛田中美術館で開催された個展「線上に幅を 空間に愛を」に於いて、棚田康司は二体の縄跳びをする像を発表しました。

凛とした立ち姿の「地上を取り込むように」は、手にした長い縄でぐるりと周りの空間を囲みます。

一方の「宙を取り込むように」は、重力という宿命に抗い、軽やかに跳ねるのびやかな身体性を持った像です。

境界線がはっきりすればするほど、矛盾や齟齬や軋轢が生まれ、色濃く分断していく。

そんな世界の様子を目の当たりしながら、棚田康司はこの二体の像を彫り上げました。

境界線上に彫刻を存在させ、その線の幅を広げ空間に余地を持たせることで生まれる多様な見方。

異なる思想や文化の中で、他者に理解を示し受け入れていくことや、既存の価値観や制約から解き放たれて自分を越えていくこと。

それは、棚田康司が30年にわたる創作活動を通して追求し続けてきた「人間の本質とは何か」という問いに対し、自らが作品という形で差し出したひとつの導きなのかもしれません。

Exhibitor / MIZUMA ART GALLERY

MIZUMA ART GALLERY

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