MIKA KASAI
天王洲アイルにあるギャラリー、Kodama Galleryにて開催された笠井美香の展覧会「風景の風景のうえの風景」からの作品紹介。
笠井美香の作品の多くは、紙製の生活廃材のうち、裏が無地で絵を描いたり色を塗りやすいということで作家が手元に残した紙片が貼り合わされた平面作品だ。
パッケージや梱包材として組み立てられていた紙は作家によってひらきにされ、千切られ、刃を入れられ、着彩され、積み上げられてひとつの風景(さま)を形成する。
薄塗りで筆致を容易に確認できる色面は、水分の揮発によって無限の細部を内包し、その表情は見ていて飽きることがない。
作品を行き来しながら筆致を目でなぞっていると、作家が紙片を塗るうえで、床が汚れないようにと養生に使ったと思われる紙片や切り落としが、別の作品に組み込まれていることに気付かされる。
この平面は、自作を切断して画面に貼り直したパウル・クレーや着彩した紙片で造形したアンリ・マティスの系譜としてのコラージュとも言えるのかもしれない。
Exhibitor / KODAMA GALLERY