REN GANMIN
神宮前にあるギャラリーMAHO KUBOTA GALLERYにて開催された気鋭の若手中国人アーティスト、冷广敏(レン・ガンミン)の個展からの作品紹介。
一見すると、シンプルな印象を受けるレン・ガンミンのペインティングだが、その制作工程は複雑だ。
麻のキャンバスをベースにして、絵具や紙を重ね、マスキングテープでシャープな輪郭線を描いてからその輪郭を微細に剥がし、またはナイフで削り取り、その一方でエアブラシを使いボリュームのある曲面を描いき込む。
こうした作業の末に、いくつもの絵画的レイヤーが一つの画面の中で複眼的に関係を結びそれぞれに呼応していく。
レン・ガンミンはキャリアのごく初期から『切る』という行為を絵画のテーマとして掲げてきた。
絵画のルールにおいてはすべての対象は外殻、あるいは表皮に覆われており、外殻を描くことで表面的にはその対象を描くことができるとされるが、レン・ガンミンはそこにナイフを入れて中身を理解し、介入することで対象とそれをとりまく世界、そして自らのパワーバランスやエネルギーの流れを捉える実践的な手法に絵画の突破口を見つけ発展させてきたのだ。
Exhibitor / MAHO KUBOTA GALLERY