天才アーティスト、中園孔二について。
香川県の丸亀市にある猪熊弦一郎現代美術館で開催されている中園孔二の展覧会「ソウルメイト」を見に丸亀市まで出かけた。
1989年生まれのアーティスト、中園孔二は東京藝術大学を卒業後、しばらく関東を拠点に活動していたが、瀬戸内海に面した香川県の土地に惹かれ都会の喧騒から逃れるように2014年に香川に移住してそこに住居とアトリエを構えた。
その翌年、中園孔二は若干25歳の若さで海で水死するという衝撃的な形で人生に幕を閉じてしまう。
しかし、その短い作家活動の期間に膨大な数の作品と、数えきれないスケッチをノートに残した中園孔二は、短くも壮絶な作家人生を送ってこの世を去ったのだった。
今回の展覧会はそうした膨大な作品の中から約200点の作品を紹介するという過去最大規模の展覧会だった。
僕が彼の作品に出会ったのはおそらく彼の最初の小山登美夫ギャラリーでの個展だったと思う。
人の良さそうな青年で、記念すべき初の個展とあってご両親も会場におられてご挨拶をさせていただいたのを覚えている。
驚くべき閃きと創造力、卓越したセンスと表現力を備えた彼の作品との出会いは感動的であり衝撃的だったのを覚えている。
独特の絵画世界、オリジナリティーの塊、天才と言っても過言ではないこの作家の作品には、この世とは違う次元からインスピレーションを受けているようにさえ感じる凄みがあった。
今思えば、どこか違うところとはインスピレーションの源となる霊感の世界、つまりあの世だったのかもしれない。
中園孔二ほどに独特で今まで見たこともない全く新しい何かを表現することは容易なことではない。
それは、才能がないと無理なのであって、神が授けた才能か、あるいはあの世と通信できる能力ような持って生まれた得意な能力によるのだと思う。
あの世と交信し、通じすぎたからか中園孔二は若くしてあの世から呼ばれてしまったのかもしれない。
そんな奇想天外なことすら想像してしまうほどに彼の表現には息詰まる美しさとどこか空恐ろしい程の力があるのである。