The Artist In His Studio

アーティスト達のスタジオにフォーカスした写真集「The Artist In His Studio」を書店で見た時にすぐに購入したいと思った。

その本には、印象派の父といわれるセザンヌのスタジオ(アトリエ)から始まり、マチス、ピカソ、シャガール、レジェ、ブランクーシ、ドゥビュッフェ、アルプ、ミロ、ブラック、ルオー、コルビジェまで、歴史に名を残したアーティスト達の姿とそのスタジオ風景の写真が紹介されていた。

それぞれのアーティストが独特のスタイルのインテリアでスタジオを装飾しているが、作家の世界観の現れであるスタジオの風景は作品とは違った意味でとても興味深いし、なんとなく、どんなところであれらの名作は生まれたのかというのを覗きたい好奇心が凄くくすぐられたのだった。

セザンヌだけが本人の写真はなく、主が不在のスタジオ(アトリエ)風景といった感じだが、絵の真髄を究めようと努力したストイックな創作活動をしていたのだろうと想像させるようなスタジオだ。

マチスのスタジオは彫刻やオブジェなどもあって、まるで彼の絵に出てくるような雰囲気だが、実際彼はよく自分のスタジオを絵に描いている。

ピカソのスタジオは生涯を通してエネルギッシュに創作活動をした作家らしく、おびただしい数のカンバスやオブジェなどの作品で埋め尽くされている。

そこに暮らし、毎日大量の作品制作をして家が作品でいっぱいになったらもっと大きなところに引っ越すというようなピカソの大胆な生き方が想像出来る。

ブラックのスタジオは彼の絵のように少し暗い色調というか、どこか落ち着いた雰囲気。

ブランクーシのスタジオはどちらかというと彫刻の制作工房のようで生活というよりももう作品だらけだ。

アーティスト達の作品ももちろん感動的だったり素敵だったりするけれど、彼らがそれを生み出したスタジオも同じくらいに素晴らしい。

なによりも作家のセンスと好みみたいなものが垣間みられるからとても面白いのだった。

アンリ・マチスのアトリエは静かな部屋。心地よい風が流れてまるで彼の絵画の世界のようだ。

沢山の本やブロンズ作品や自身の絵画で飾られたアトリエの中はマチスの絵のように明るくカラフルだ。

アトリエ内で作品に囲まれるピカソ。一時期ピカソが熱心に描いたシルベッタの横顔の絵画が美しい。

ピカソのアトリエでの作業風景。パレットは板の上、油絵の具は豪快に乱暴に絞り出される。

ブラックのアトリエ、大きな窓からは自然光がたっぷりと入る。作品が並ぶ中で居心地が良さそうだ。

ブランクーシのアトリエは工房そのもの、大きく重そうな石などを使った彫刻作品が所狭しと並ぶ。