2023年 12月 11日TRAVELING FOR ART
ARISA KUMAGAI
銀座にあるギャラリー小柳にて熊谷亜莉沙の個展「神はお許しになられるらしい」が開催されました。
熊谷亜莉沙はこれまで、自身のバックグラウンドが色濃く反映された作品を発表し、富裕と貧困、生と死、愛と憎しみという表裏一体の事象に焦点を当ててきました。
卓越した写実表現で描かれる家族史に密接に由来したモチーフから発展し、2022年にギャラリー小柳で開催された「私はお前に生まれたかった」では、ニューヨークのセント・パトリック大聖堂にある天使像をモチーフとした作品を発表しました。
ギャラリー小柳で3回目となるこの展覧会では、カトリックに由来するモチーフを中心とした絵画と熊谷亜莉沙が綴った詩をまとめた詩集を展観が発表されました。
祖父のブティックで取り扱っていたヴェルサーチのシャツや、絵画を志すきっかけとなったベラスケスのキリストの磔刑図など、図らずもカトリックにまつわるものから影響を受けてきた 熊谷亜莉沙は、「祈り」や「暴力性」、そして「権力」を同時に孕むその有様に自身の家族像を重ね合わせました。
パリから帰国した後、より深い探究のためにカトリック教会に通い、「美と権力・暴力と祈り」について探りながら制作に挑んだ 熊谷亜莉沙にとって、カトリックのモチーフを描くことはこれまでの制作の延長線上である私的なことを普遍なものに接続する試みでもあるようです。





