EVELYN TAOCHENG WANG

駒込にあるKAYOKOYUKIにて、エヴェリン・タオチェン・ワンによる日本初の個展、「Norwegian Music in Dutch Window -オランダの窓中にあるノルウェーの音楽」が開催されました。

オランダを拠点に活動する中国出身のアーティスト、エヴェリン・タオチェン・ワンは、絵画、パフォーマンス、インスタレーション、書道などの幅広い表現手法をもとに、中国の伝統絵画の流用、女性性、文化的アイデンティティといったテーマを横断的にその表現に扱ってきました。

近年のシリーズ作品「オランダの窓中にあるノルウェーの音楽」では窓をモチーフとしていますが、作品は多層的かつ稠密な構造をそなえ、また際限のない解釈のありようを、一つの光景として差し出しています。

オランダ国内にあり、建築的な特徴が実際に参照されてきた窓は、エヴェリン・タオチェン・ワンの人生の多くの場面で、その枠の向こうに広がる景色をも含め、象徴的な意味合いを持ってきましたが、表現にとって意義のあるそうした窓の数々を、記憶だけを頼りに、メタフィジカルな実存性をもとに描き出します。

この展覧会で目指しているのは、一つの物語の共有であり、その物語は、たとえはっきりとした精緻な答えを導かなくとも、仏教の公案や詩情ある俳句の一片のように機能する、そんな物語なのです。

KAYOKOYUKI