2023年 11月 12日TRAVELING FOR ART
FROM THE SCENE OF CREATION
京橋にあるARTIZON MUSEUMにて企画展「創造の現場・映画と写真による芸じゅちゅかの記録」が開催されています。
1953 年、アーティゾン美術館の前身となるブリヂストン美術館は映画委員会を発足しました。
「美術映画シリーズ」と冠し、1964年までに61人の芸術家を取材して17本の記録映画を製作しました。これらは梅原龍三郎や高村光太郎、前田青邨といった当時の日本の芸術家たちの制作風景や日常の様子を記録した、大変貴重な映像資料です。
このプロジェクトの発案者は当館創設者石橋正二郎の長男、石橋幹一郎でした。
映画委員会の委員長に就任した石橋幹一郎は「本当に美術を愛し、理解に努力している人びとの助けとなり、また芸術の先達たちの動く肖像画を伝える」ことを念願し、事業を主導しました。
その結果、1950年代に盛んになる美術映画において特に近代美術の分野で先駆的な役割を果たし、イタリアの国際映画祭で受賞するなど国内外で評価を得ました。
また近年、ARTIZON MUSEUMは現代美術の現場を記録し続けた写真家、安齊重男の作品を収集していますが、安齊重男は自らを現代美術の伴走者と称し、1970年代からアーティストのポートレイトや、一過性のインスタレーション、パフォーマンスなどの撮影を手がけてきました。
この展覧会では「美術映画シリーズ」の全貌をご紹介するとともに、その取材対象となった芸術家たちによる作品、そして安齊重男による写真作品が紹介されています。
日本の近現代美術の制作現場を概観することになるような「創造の現場」を捉えた映画と作品の魅力を楽しめる企画展となっています。