2024年 6月 03日TRAVELING FOR ART
FUMIKA TSUCHITORI
江戸川橋にあるギャラリー、WAITINGROOMにて土取郁香の初の画集刊行を記念して、画集に掲載されているドローイング作品約30点を展示する特別個展「Drawings」が開催されました。
土取郁香は、親密な関係性にある2者や、1人の人物の中にある別個の存在をモチーフに、それらが溶け合うようなペインティングを制作してきました。
それらは、大きく「I and You」と「a scene」の2シリーズに分類される作品ですが、主客が入り乱れ、あらゆるボーダーラインが滲んだような濃密な空気が表現されています。
土取郁香にとって、ドローイングは身近なものであり、絵画とはまた別の広がりを持つもので、絵画よりさらにイメージが瞬間的に捕獲されるさまが見て取れます。
時に実験的に、そして日常的に積み上げられてきたドローイングは、単なる絵画の習作としてではなく、もうひとつのタブローとも言えるような、自律性を持つ作品としての魅力に溢れています。