KEIICHI TANAAMI

神宮前にあるギャラリー、NANZUKAUNDERGROUNDにて田名網敬一の新作展の個展「世界を映す鏡」が開催されました。

コロナ禍に見舞われた世界の中で、田名網敬一はピカソの母子像の模写にまるで取り憑かれたように没頭しました。

何も考えないで好きなものをただ写すというシンプルな行為は楽しく、心身の安定にも繋がったと言います。

田名網敬一は、画材屋でF6号のキャンバスを大量に購入し、ピカソを日課として描くようになりました。

そして、これまでの3年近い期間の間に、既に400点を優に超すピカソ作品の模写を繰り返しました。

制作するうちに、やがて田名網敬一オリジナルのピカソシリーズが生まれてくるようになりました。

田名網敬一は、毎日4-5点のキャンバスを並べて創作を開始します。

最初の1枚目はピカソの画集を横に観ながら見様見真似で描き、2枚目以降は自分の描いた作品をベースに、続く3枚目以降は直近の視覚的な記憶をたどりに自分で好きなようにアレンジして描いていきます。

その結果、あたかも絵画版の伝言ゲームのように、少しずつ異なるピカソ作品が生まれていくのです。

 

NANZUKA UNDERGROUND