2025年 7月 27日TRAVELING FOR ART
KUNIE SUGIURA
六本木にあるタカ・イシイギャラリーにて、杉浦邦恵の個展「境界と共存」が開催されています。
杉浦邦恵の作品制作は、複数のメディウムを自在に横断する創作姿勢に特徴づけられています。
杉浦邦恵は、日本とアメリカ、自然と人工、絵画と写真といった二項対立的な要素を、対立させるのではなく、緊張感を保ちながら共存させることによって、二文化的なアイデンティティを繊細かつ力強く表現してきました。
その根底には、写真を絵画や彫刻と同等の芸術表現として確立したいという確固たる意志があります。
この展覧会は、六本木と京橋の2会場を舞台に、杉浦邦恵の長年にわたる創作の軌跡をたどります。
六本木会場では、杉浦邦恵がシカゴ美術館附属美術大学在学中に制作した《Cko》シリーズ(1966~1967年)が紹介されています。
この初期代表作は、杉浦邦恵の芸術的探求の原点であり、異文化の中で感じた孤独や疎外感と向き合う中で生まれました。
魚眼レンズを用いてヌードモデルを撮影し、カラーとモノクロのネガを重ねることで、被写体を歪め、再構成された像が生み出されています。
ソラリゼーションやネガへの漂白剤の筆塗りなど、意図的操作と偶然性を融合させた実験的な手法も、このシリーズの大きな特徴です。