MAKOTO TANIGUCHI
原宿にあるNANZUKA UNDERGROUND2階にて、谷口真人の新作個展「Where is your ♡?」が開催されました。
谷口真人は、1982年東京都生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了しました。
これまで、「美少女の美術史」や「Takashi Murakami's Superflat Collection - From Shōhaku and Rosanjin to Anselm Kiefer-」、「TOKYO POP UNDERGROUND」(Jeffrey Deitch、2019)など、国内外の展覧会に参加しています。
鏡とアクリル板、絵の具、木材から成るその箱式絵画とも呼ぶべき作品は、透明アクリル板の表面に置かれた絵の具と、箱の中の鏡に反射して見える肖像を両方同時に提示します。
見るものの視線は自ずとその関係の中を往復し、鏡に映る像は絵の具によって生み出され、鏡に映し出された絵の具は像を生み出すのです。
見るものはこの明白に示された関係性にもかかわらず、鏡に映る像を少女像であると認め“親しみやすい存在”として、認識します。
そしてもちろん私達はこのシステムの中でしか彼女を見ることができません。
谷口真人は、その創作活動を通して、人間の知覚認識に関するもっとも根源的な謎を追い求めているかのようです。
それは、「楽園のリンゴ」に象徴されるような、身体と中身の謎とでも呼ぶべきものです。
私達は人の存在をいかにして認知しているのか、共感や感情移入といった現象はどこから来るのか。
それは姿かたちといった形態によるものなのか?あるいは、精神性によってなのか、その両方なのか。
人それぞれによってその認識システムに差異があるのはなぜなのか。
さまざまな問いを生む作品は見るものに視覚認識とは?という問いを突きつけるのです。