NASO TATSUMI

湯島にあるロイドワークスギャラリーにて、辰巳菜穂による2年ぶりの個展『Unformed 名のない世界』が開催されています。

これまで辰巳菜穂は、Googleストリートビューで出会った風景に、異なる時間や場所の記憶を重ね合わせるように描いてきました。

絶えず更新されやがて消えゆくデジタルの痕跡、その一瞬の輝きをキャンバスへ留めることを試みてきたのです。

しかし、ある事をきっかけに彼女の関心は言語や意味によって世界が成立する以前の「未分化な知覚」へと向かいます。

この展覧会で発表される新作群は、風景の手前に置かれた「ガラス」の透過や屈折によって、あえて歪められた像を描いています。

それは単なる風景の再現ではなく、言葉や意味によって世界が固定される以前の、未分化で不確かな知覚の揺らぎそのものに触れようとする試みです。

ROIDWORKS GALLERY