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六本木にあるギャラリー、nca | nichido contemporary artにて黄品玲(ホワン・ピンリン)と坂本和也による二人展が開催されました。

ホワン・ピンリンの描く風景画は、描き溜めたスケッチブックをもとに新たな世界を創ります。

流れる筆致と厚い絵の具の層によって揺れ動く空間を構成し、具象と抽象を行き来するようなイメージは、視点を変えるたびに新しい表情が見えてきます。

ホワン・ピンリンの風景を構成する要素には自身のバックグラウンドや旅先での記憶、日常生活が盛り込まれているといいます。

風景を純粋に再構築するのではなく、それらの要素を小さく散りばめて露出させることでイメージの規則性を解き、懐かしい場所のようでどこでもない、新しいあるいは未来の風景を描いているようです。

坂本和也はこれまで自身の趣味である水草の飼育、観察を通して生態系の構成要素のなかに人間の社会環境との類似性をみたことから、植物をモチーフにして絵画を制作してきました。

複数の色彩を用い、複雑に層を重ね、綿密に時に即興的に描かれる多種多様の植物は、生命を維持するために変容を繰り返す進化の過程を描いているようです。

それぞれが存在感を残しながらも調和された色彩によって構築された画面からは、絶妙にバランスを保ちながら共存する生命の強さ、エネルギーが現れます。

この展覧会は自身の環境と向き合い、過去と現在を行き来しながら人間と自然との関係を考察する2人のアーティストに焦点をあて、世界で今起きている問題やその先のより良い未来のための新しい思考、可能性を模索しています。

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