RIKA MINAMITANI
六本木にある小山登美夫ギャラリー六本木でにて南谷理加の個展「黙劇」が開催されました。
南谷理加にとって小山登美夫ギャラリーで初の個展となるこの展覧会では、新作を中心に、大小の油彩画が発表されました。
南谷理加は1998年神奈川県生まれ。2021年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業し、2023年に東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了して現在は茨城を拠点に活動しています。
絵画の作品制作を通して、油彩絵画というメディウムの可能性と制限とを自由に行き来するような、イメージの実験を南谷理加は軽やかに追求します。
その絵画は、対照的な色の組み合わせや、均一に塗られた色面と筆致の際立つ箇所、モチーフの省略化とディテール描写といった、キャンバス上の様々なコントラストによって構築されます。
そこに描かれるユーモアと少し毒のある登場人物達や動物は、豊かな表情と独特のジェスチャーで躍動感をもって存在します。
南谷理加の絵画をさらに特徴づけるのは、余白を大胆に使用したダイナミックな構図で、人物などが集まって描かれた群像において、互いに干渉しあうポーズや視線が観る人の視覚を誘導し、軽く錯乱させます。
一方、単体のモチーフが画面一杯に描かれた構図では、描かれた人物や動物がキャンバスの直線的なエッジに制限されたり、あるいはそれに呼応しているような表現が見られます。
この展覧会のタイトルである「黙劇」は、言葉を使わずにジェスチャーだけで全てを表現するパントマイムの日本語訳です。
南谷理加はこの訳を知った時、昔見たパントマイムの「なにかをしているふり」と、自身の絵の中の人物が繋がったといい、また同時に「黙」として言葉を語らないモノである絵画の性質とも共通点を見出しました。
この個展は、絵画という視覚言語を用いてユニークで豊かなオリジナリティー溢れる世界を作り出す新人作家、南谷理加の新作が一堂に会する素晴らしい機会となりました。
