2024年 10月 30日TRAVELING FOR ART
TOMOKO KASHIKI
六本木にあるオオタファインアーツにて、日本では8年ぶりとなる樫木和子の新作展が開催されました。
樫木和子は、パースの狂ったような不思議な構造を持つ部屋や水槽といった空間に、人物を描いています。
作品は主にアクリルで描かれ、描いた画布の上をサンダーで削り、再び描くというプロセスを経て、滑らかな画面と幾重にも重なる色層の背景を獲得しており、一見日本画と見まがうような平滑なテクスチュアと流麗な描線が特徴です。
怖さと美しさが表裏一体となった樫木和子の世界観は、新作においてさらに深められ、平滑な画面の一部に凹凸やざらざらとしたテクスチャーを試みるなど、より多層的な画面構成を試みています。
樫木和子にとっての絵画とは、現実にはない景色や手に入らないものを実在するかのようにあらわすことです。
記憶や誰かの思い出話、いつか読んだ本の場面をつむぎ、豊かな想像力をもって、憧れ、欲望、思慕や渇望といった人間らしい想いを画面にあらわしてるのです。