TOWARD THE PHENOMENON OF PAINTING

MISA SHIN GALLERYにて、篠田太郎、フランシス真悟、前田紗希、鴫原夕佳によるグループ展「絵画が立ち現れる場所へ」が開催されています。

篠田太郎の「桂 KATSURA」シリーズは、麻布のキャンバスにウサギ膠を引き、くるみ油をとき油とするなど、油彩画の基本的な素材を用いながらも、私たちが慣れ親しんできたペインティングの枠組みから静かに逸脱しています。

フランシス真悟は、長年にわたりブルーを基調とした抽象絵画やモノクローム作品を制作してきましたが、近年では特殊な素材による光の干渉現象を用いた「Interference」シリーズを発表しています。鑑賞者の視点や角度、時間帯によって色彩が変化するこれらの作品は、モニター上の画像では決して完結しない視覚体験を生み出します。

前田紗希の絵画は、構成と偶然、抽象と物質感、感覚と理性のあいだに生まれる緊張と調和を精緻に保ち続けています。画面を斜めに横切る線、重なり合う三角形のレイヤー、慎重に制御された色面は、均衡を保ちながらも、常に崩れうる可能性を孕んでいます。油彩におけるペインティングナイフの独自の使用法によって生み出されるマチエールは、擦りガラスのように画面を覆い、見る者に「その奥」を想像させます。

鴫原夕佳は、MISA SHIN GALLERYでの初めての作品発表となります。

鴫原夕佳の絵画制作は、支持体づくりと描画行為を明確に分けることなく、一続きの営みとして進められます。木枠に麻布を張り、地塗りを施す段階からすでに制作は始まっており、あえてムラや行為の痕跡を残した地塗りの上に、薄く溶いた油絵具を重ね、拭き取り、そのプロセスを繰り返していきます。この反復のなかで、作家の意図を超えて立ち現れてくる像は、あらかじめ想定されたイメージではなく、むしろ素材と時間、光の作用によって浮上する潜像としての「風景」です。

この展覧会に参加する4名の実践に共通して見られるのは、絵画を「何が描かれているか」という解釈の対象としてではなく、どのように世界と出会い、どのように知覚が生成されるのかを体験する場として捉える姿勢です。

鑑賞者がそれぞれの身体と時間を携えて作品の前に立つとき、絵画は再び、私たちの知覚や世界認識に静かな変化をもたらします。

MISA SHIN GALLERY