MATS GUSTAFSON
アートフェアやギャラリー巡りなどを紹介するTRAVELING FOR ART。
今回は2020年の東京から。
恵比寿にあるMA2ギャラリーにてファッションイラストと往年の写真作品の名作を組み合わせて展示するという興味深い趣向の展覧会が開催されています。
スェーデン出身でニューヨークを拠点に活動するマ
マッツ・グスタフォソンのファッションイラストと対比して展示されるのはマン・レイ、アンドレ・ケルテス、ウィン・バロック、セシル・ビートン、ブラッサイ、エドワード・ウェストン、植田正治と言った写真芸術の歴史に名を刻む往年の巨匠写真家たちの名作。
マッツ・グスタフォソンは1980年代より美しいタッチの水彩画でファッションイラストの世界で一世を風靡したイラストレーターですがアーティストとしては彼が暮らすニューヨーク郊外の自然をシンプルに描く作品などを発表しています。
今回は彼のアーティストとしての作品と日本での発表は初めてとなるファッションイラストの数々を往年の名フォトグラファーの写真作品と共に展示していますがそれぞれの組み合わせは慎重に考えられお互いの作品が隣同士で展示されることによる素晴らしい相乗効果を生むような趣向になっています。
プラチナ・シルバー・プリントなどデジタル以前の存在感溢れる写真の数々はツァイト・フォト・コレクションの協力によって実現しました。
コロナウィルスや人種問題、アメリカ大統領選挙の行方など様々な変化が我々に突きつけられている現在、アートによってタイムレスな美の共演を見せることはできないかというこのユニークな展覧会は異なる時代とジャンルの作品がまるで化学反応を起こすようにお互いの作品の輝きを高め合うという素晴らしい展覧会となっています。
マッツ・グスタフォソンの美しくシンプルな木を描いた水彩画に合わせて展示されるのは植田正治の写真作品。なんとも意外な発想の組み合わせが新鮮な相乗効果を生んでいます。
歴史的な名作といってもいいエドワード・ウェストンの美しいヌードの写真に対して展示されるマッツ・グスタフォソンの線画のヌードの共存が素晴らしいです。
エレガントなドレスに身にまとった女性のモダンなイラストレーションに対しては写真家セシル・ビートンの気品のあるファッション写真がおかれました。
エレガントで独創的なドレスに身を包みくわえタバコでポーズを取るのはシャネルを生み出したココ・シャネル。この写真を撮影したのは当時のパリの芸術界の常連アーティストのマン・レイです。
近年マン・レイの評価は再確認されて人気が出ている作家の一人です。