YUICHIRO MORIYAMA

アートフェアやギャラリー巡りなどを紹介するTRAVELING FOR ART。今回は2020年の東京から。

初台にある東京オペラシティーギャラリーにて画家守山友一朗さんの展覧会「ありふれた日常の輝き」が開催されています。展覧会のタイトルが表す通り作家の周りの日常を大小様々な大きさのキャンバスに油彩で描いた絵画の作品展です。

14年滞在したというフランスでの生活の中で経験したありふれた日々の景色は暖かい視点で見守られ丁寧に平和な絵として描かれています。フランスの室内の風景、一輪挿しの花、特徴のない野原や太陽に輝く中で水遊びする人の風景など作家が見たままを描いたそれらの風景画は淡々としていながら見るものに懐かしさのような感情を抱かせるのです。

油絵とは思えないほど薄く塗られた画面をよく見てみれば油絵特有の色を塗り重ねることもせずそれぞれの色を描き分けているという非常に特異な表現手法なのも特徴的です。

かつての日常が新型ウィルスによって奪われて新たな日常と向き合わざるを得ない今だからこそこの展覧会を見てかつてのありふれた日常の輝きを思い出して欲しい展覧会となっています。

作家の目線で捉えたような構図が面白いダイニングテーブルの絵にはテーブルクロスの上に置かれた食器やフルーツ、花やメガネなどが丁寧に描かれています。

これといって特徴的なもののない草むらですが画面を埋め尽くす黄色い花や枯葉がとても細かく描きこまれています。ありふれた景色への作家の想いが感じられます。

花や蝶の柄の刺繍があしらわれたサテンのドレスを輝くように描いています。光り輝くサテンの豊かな質感が見事に表されています。

太陽の光の中で輝く海とそこを泳ぐ人たちを美しくダイナミックに描いた作品。海の青い色のグラデーションや水面の色の変化、輝きなどが表現されています。

まばゆい光の中、日差しにきらめく海を見下ろしている風景画は光り輝く様子が見事に表されています。流れる水の動きや反射した太陽の光などどこかで見たことのあるような親しみの持てる絵です。

 

TOKYO OPERA CITY GALLERY