fumik imano
アートフェアやギャラリー巡りなどを紹介するTRAVELING FOR ART、今回は天王洲アイルにあるKOSAKU KANECHIKAギャラリーにて開催中のfumik imanoの個展を紹介します。
”somehow somewhere sometimes at some place for some reason”という長いタイトルの個展を開催しているアーティストのFUMIKO IMANOは8歳までブラジルで過ごした後、セントラル・セント・マーチンズ美術デザイン大学でファインアートを専攻しロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでスタイリングと写真を学ぶという国際的な経歴を持つ作家です。
今回で2度目となるこのギャラリーでの展覧会ではカラー写真と白黒写真の作品30点ほどが展示されました。
2016年から制作を始めたという作品は海外の色々な旅先で自分自身を撮影したセルフポートレイトなのですがそこにはまるで双子の姉妹の写真のように作家自身が二人登場して景色をバックポーズをとっています。
よく見ると実は写真は右と左の2枚を切って貼り付けて巧妙に合成したもの。
セルフポートレイトをこのように切って貼って加工することにより生まれる虚構のポートレイトはセルフアイデンティティの洞察という行為であり新たな視覚言語の獲得でもあるのです。
今回の展覧会では初期の一人だけのポートレイトや双子のようなポートレイトなどのカラー作品に加えて白黒写真をやはり切ってから赤い糸で縫い合わせた作品などがセレクトされました。
写真という存在を物理的に操作して新たな嘘のイメージの世界を作り上げるこの作家の稀有な才能が非常に興味深い展覧会です。
同じサイズにプリントされた写真作品が同じ額に入れられて規則正しく展示されたギャラリーの壁面です。
一見すると双子の女の子のセルフポートレイトのようですがよく見るとなんとも言えない不思議な違和感を感じてしまいます。
湖のほとり、ニューヨークの街、日本のマンションのインターホンの画面。様々な場面に写る二人の少女は実は作家本人であり写真はプリント紙を切って貼るというアナログな行為によって作り上げられた虚構の世界なのです。
切って貼るという行為で2枚の写真を物理的に接合して現れる世界によって作家は作り上げられたセルフアイデンティティの洞察という行為を行い新しい視覚言語を獲得するのです。