VISITORS

銀座にあるエルメスのギャラリースペース、Le Forumにて1月31日まで、クリスチャン・ヒダカとタケシ・ムラタの二人展「訪問者」が開催されています。

1977年千葉県野田市生まれのクリスチャン・ヒダカロンドン在住で、1974年アメリカ・シカゴ生まれのタケシ・ムラタロサンゼルス在住です。

日本の血をひきながらも、英語、米語圏の文化の中で育った彼らのまなざしは、日本を拠点としている私たちの文化や言語へのアプローチとは、ある一定の距離を持った訪問者のものであり、またそれ故に、私たちのまなざしをも彼ら固有の世界への訪問者へと変えるものでもあります。

この展覧会では、タイトルである「訪問者」の視点とともに、二人のナラティブが作り上げる世界を散策し、絵画やCG画像、映像などの中で反響するハイブリッドなリアリティを感じることができます。

 

クリスチャン・ヒダカは、絵画を通じて、劇場や建築、西洋の絵画史への参照を特徴とした制作を続けていますが、特にルネサンスの思想や芸術への強い憧憬は、遠近法や幾何学的な空間記述といった科学的な技術への着目だけでなく、異教や魔術といった古代思想との関連も探求のテーマとなっています。

一方、タケシ・ムラタは、主にデジタル・メディアを用いて、映像作品や立体作品などで独自のリアリズムを追求してきました。

タケシ・ムラタにとって現実とは流動的なもので、分解、溶解、消滅、オーバーラップといったCGI技術の「ディゾルヴ」に似たものであるといいます。

二人の作家が生み出すそれぞれの世界は、ともにハイブリッドな技術を用いながら、私たちがアートの中に希求する虚構性を巧みに用い、現実と並行した異なる次元のリアリティへと見るものを誘います。

LE FORUM