YASUKO IBA

広尾にあるMISA SHIN GALLERYにて、伊庭靖子による新作個展「paintings -あらわれ-」が開催されました。

この展覧会では、およそ2cm角のミニチュアのクッションを主たるモチーフに、器や果実などの日常的な対象を通じて、「物」とその「周囲の空間」を描くという伊庭靖子の近年の探究が提示されます。

伊庭靖子の絵画は、しばしば写真的な精度をもつ表現として語られてきましたが、その実践はフォト・リアリズムとは異なり、むしろ何を描き、何を描かないかという選択を通して、独自の視覚世界を立ち上げる試みにあります。

伊庭靖子は一度写真として対象を捉え、それを精緻に観察しながら、光や質感、空気といった要素を抽出し、再構成していきます。

その過程で立ち現れるのは、単なる再現ではなく、「見ること」そのものを問い返す絵画空間なのです。

この展覧会は、伊庭靖子が長年にわたり積み重ねてきた実験と実践の現在地を示すと同時に、見るとは何か、絵画とは何か、という根源的な問いを、あらためて鑑賞者に投げかける機会となりました。

MISA SHIN GALLERY