YOSHIO KITAYAMA

恵比寿にあるMEMGALLERYにて、北山善夫の4年ぶり7回目になる個展「歴史=理性・感情」が開催されました。
今回展示された新作は、粘土で形作った人形を一体ずつ大判の鳥の子紙にロットリングで精密に描きとっていったものです。

描いた後の粘土の人形は壊され、また新しい人形が作られるというのが一連の制作の儀式だと言います。

画面の隅から隅まで埋められた人形たちは、誕生してから死ぬまでの人間の振る舞いを戯画化したような行為を繰り広げます。

この作品は偶像図と呼ばれるシリーズの最新作ですが、並行して宇宙図と名付けられた一連の抽象画も制作しています。

名前の通り当初は実際の星や惑星を思わせる図が描きこまれていましたが、そこから発展し、現在では膨大な量の小さい円や点が画面全体に描かれるようになりました。

円を毎日描きつづける北山善夫は、ひとつの円にひとつの宇宙を描いていると言います。

その集合が銀河のように、また大きいひとつの宇宙になっています。
この二つのシリーズは北山善夫の絵画制作において両輪をなし、果てしない命の連鎖の果てに自分がこの世に誕生した意味を繰り返し問いかけているようです。

MEM